2008年06月18日

閉鎖病棟(帚木 蓬生)

閉鎖病棟 (新潮文庫)
閉鎖病棟 (新潮文庫)帚木 蓬生

おすすめ平均
stars無垢な人々の優しさと切なさが
stars温かな人間ドラマ
stars登場人物が使い捨てられてない!
stars人間への公正な慈しみ
stars痛々しく優しい

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【本】
 閉鎖病棟

【作家】 ※カッコ内は代表作
 帚木蓬生" target="_blank">帚木蓬生(白い夏の墓標)

【ストーリー】
 とある精神科病棟。重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。その日常を破ったのは、ある殺人事件だった…。彼を犯行へと駆り立てたものは何か?その理由を知る者たちは―。現役精神科医の作者が、病院の内部を患者の視点から描く。淡々としつつ優しさに溢れる語り口、感涙を誘う結末が絶賛を浴びた。山本周五郎賞受賞作。

【感想】
"精神病院"の実情を、ありのままに描いた本作。
こういった本はある種の『踏絵』的な存在だと思うのです。

つまり、
「社会的弱者で、いわれも無い迫害を受ける人々の実情を知り、
 共感するのか否か?」
が問われており、それはイコール(=)
「お前は人間らしい心の持ち主なのか?」
を問われているに等しいのではないか?と。

そんな『踏絵』を前にして、正直な感想を表すならば、
 「共感するどころか、暗い話としか思えない。」
です。

そんな私は想像力に欠けるんだと思います。
自分の手元にある物にしかリアルを感じられないのです。

自分の体験したことのある苦しには共感するけれども、
自分の体験したことのない苦しには共感どころか批判してしまうのです。
「そんなことで辛い・苦しいなんで言ってるお前は甘い!」
と。
・・・。
 度量の狭い人間なんです。。。


おかしいなぁ。。。
 『ブラックジャックによろしく 精神科編』
には、とても共感したのですが。。。

ブラックジャックによろしく (1) (モーニングKC (825))
ブラックジャックによろしく (1) (モーニングKC (825))佐藤 秀峰

おすすめ平均
starsブラックジャックを越えた??
stars長いレビューですが・・・
stars5年前が、はるか昔のよう
stars命についてここまで言及した漫画は見たことがない。
stars医師を目指す人に読んでもらいたい。

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『ブラックジャックによろしく』読んだ事ある人は是非クリック!映画ブログランキング
タグ:小説 感想
posted by 鉄蔵 at 01:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説)

2008年06月06日

2006年本屋大賞第2位!『サウスバウンド(奥田英朗)』

サウス・バウンド
サウス・バウンド奥田 英朗

角川書店 2005-06-30
売り上げランキング : 19908

おすすめ平均 star
starどんなジャンルの作品も楽しめる
star学校なんて行きたい人だけ行けばよい
starこの展開の奇抜さが作者らしい!

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【本】
 サウスバウンド

【作家】 ※カッコ内は代表作
 奥田英朗空中ブランコ
  ⇒本作に関する著者インタビュー

【ストーリー】
 小学校6年生になった長男の僕の名前は二郎。父の名前は一郎。誰が聞いても変わってるという。父が会社員だったことはない。物心ついた頃からたいてい家にいる。父親とはそういうものだと思っていたら、小学生になって級友ができ、よその家はそうではないことを知った。父は昔、過激派とかいうのだったらしく、今でも騒動ばかり起こして、僕たち家族を困らせるのだが…。―2006年本屋大賞第2位にランキングした大傑作長編小説。

【感想】
2006年の本屋大賞は、世間に『本屋大賞』という名を知らしめた年でした。
そう、ベストセラー⇒テレビドラマ・映画化とある種の社会現象にまでなった
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』 (リリー・フランキー著)
が、本屋大賞第1位をとった年だったのです。

そんな強烈な年に堂々本屋大賞第2位を獲得したのが、今回読んだ
『サウスバウンド』
本作は著者である奥田英朗氏が直木賞作「空中ブランコ」に続いて
発表した長編小説です。

■■■GoodPoint■■■
東京でいろいろなことに縛り付けられ、押し込められていた家族。
彼らが南の島でそれら全てから開放され、
本来の姿を取り戻していく様は、読んでいてとても気持ち良いです。

誰かが決めた一般常識やルールを盲目的に守るのではなく、
自分で考えた自分なりの答えに従って自身を持って生きる。

すごく当たり前のようでいて、すごく難しい生き方を
ある一家を通して学ばせてもらいました。

■■■BadPoint■■■
小学生の主人公が、上級生である中学生に執拗にいじめられる
前半のストーリーは心が痛かったです。

 私も小学生の頃に親友と自転車で街を走っていたら、
 逆からやってきた中学生がいきなり親友を殴ってきた事がありました。
 理由は「目が気に入らないから」。。。
 私は怖くて助けるどころか、ひと言も声を出す事が出来ませんでした。
 それ以来、彼は急速に私との距離を置くようになったのです。

そんな心の古傷を掘り起こされ、
危うく上巻だけで読むのをやめてしまうところでした。
そんな超個人的理由によるBadPointです。。。

■■■評価■■■
読後の爽快感はかなりなものです。
さすが本屋大賞第2位作品だけのことはあります。

 物は個人所有するのではなく、共有する。
 人間関係は競争するのではなく、助け合う。

そんな共産主義的なライフスタイルを提案していますが、
決して説教臭くも無いし、古臭くも有りません。

「毎日真夜中まで仕事をし続け、
 常にプレッシャーにつぶされそうになっている
 自分の生き方は 間違っているのか?」


そんなことを考えさせられる一冊でした。

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タグ:小説 感想
posted by 鉄蔵 at 02:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説)

2008年05月24日

マドンナ(奥田 英朗)

マドンナ (講談社文庫)
マドンナ (講談社文庫)奥田 英朗

おすすめ平均
stars酒井順子の解説が泣かせる
starsアットホームコメディー小説
stars日常の世界
starsとにかく巧い
stars日常のお話って難しい

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【本】
 マドンナ

【作家】 ※カッコ内は代表作
 奥田英朗空中ブランコ

【ストーリー】
 ああ、なんてかわいいオジサン達なんだろう。42歳課長、部下に密かにときめく。46歳課長、息子がダンサー宣言。44歳課長、営業から総務へ異動。課長さんたちの日常。そこにある愛しき物語5編を収録。

【感想】
「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ!」
と歌ったのは、今は亡き植木等さん。

でも、実際にサラリーマンをしている私たちに言わせれば、
決して楽な仕事ではない。

 朝早くから夜遅くまで働き、
 上司には売上へのプレッシャーを与えられ、
 後輩には労働環境の改善をして欲しいとつつかれ、
 顧客には品質と納期について毎日のように注文をつけられる。

本書は、そんなサラリーマン人生の折り返し地点を迎え、
40台半ばの課長世代を主人公とした短編集である。

課長といえば、ちょうど上からも下からも叩かれる
『悲哀の世代』
そんな彼らの悲喜こもごもな姿を、
どこにでもありそうなシチュエーションでいきいきと描いている。

転籍してきた若い女性部下に恋をして、仕事も家庭も疎かになってしまう、
という1話目(マドンナ)などを読んでいると
「人恋しいんだよねぇ・・・、中年サラリーマンって。」
なんてついつい同情してしまう自分がいる。

ヤバイ、ヤバイ!

自分はまだ30台半ば。
できればLEONに出てくるようなカッコいいオヤジになりたい。

こんなオッサンらに同情している場合じゃないぞ!と気合を入れつつ、
新発売された脂肪燃焼を促すドリンク「ヘルシア(アセロラ味)」を
ゴクゴク飲んでみた。目指せ!20代の体型!

・・・。こんなんで良いのか?

やっぱり新人OLっていいよねぇ、と思う人は是非クリック!映画ブログランキング
タグ:小説 感想
posted by 鉄蔵 at 23:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説)

2008年05月23日

直木賞受賞作『空中ブランコ』(奥田 英朗)

空中ブランコ (文春文庫 お 38-2)
空中ブランコ (文春文庫 お 38-2)奥田 英朗

おすすめ平均
stars「伊良部シリーズ」第二弾
stars医学博士の伊良部一郎はもしかしたら「人間博士」かもしれない!?
starsドランクドラゴンの塚地でドラマ化を!
stars一種の癒し本
starsベストセラーに納得

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【本】
 空中ブランコ

【作家】 ※カッコ内は代表作
 奥田英朗イン・ザ・プール

【ストーリー】
 跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のヤクザ……悩める患者たちをトンデモ精神科医・伊良部一郎が治します。伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が……。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!? 直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。

【感想】
"イン・ザ・プール"に続いて奥田英朗作品の2作目
 『空中ブランコ
です。

本作は一風変わった精神科医:伊良部を主人公としたシリーズであり、
"イン・ザ・プール"に続くシリーズ第二作目。
本作はかの有名な「直木賞」受賞作でもあります。

今回も前作同様に様々な患者が迷医(?)伊良部を訪ねてきます。
 ・飛べない空中ブランコ乗り
 ・尖端恐怖症のヤクザ
 ・義父のカツラを剥ぎ取りたい衝動に負けそうなマスオさん
 ・ボールがまともに投げられなくなったプロ野球選手
 ・過去に似たような話を書いた気がして新作が書けない小説家

皆それぞれ、発病前はそれぞれの分野で一流でした。
が、何かがきっかけで突然自分の最も得意とする分野が
全く出来なくなってしまうのです。

原因はなんなのでしょうか?

5つの短編それぞれの原因はありますが、根底はどれも同じ
 "自分が自分自身を追い詰めた"
ことが原因です。

子供の頃からサーカス小屋でみんな家族のように育ってきた
空中ブランコ乗りは、外から来た新メンバーが信用できない。
だから急に飛べなくなる。

少年時代から野球のスター街道を爆進してきたプロ野球選手は、
自分以上に期待されるルーキーが急に現れた事がプレッシャーとなり、
まともにボールが投げられなくなる。

誰かが彼らを攻撃した訳ではないのです、
自分が勝手に追い込み、恐れ、壁を作り、
そして肉体も含めたバランスを壊していったのです。


現代急増している精神病の多くは、
こういった一人相撲の結果なのかもしれません。

それだけ、皆が
 真面目で、
 ブライドが高く、
 心配事を打ち明ける友人もいない。
 "さびしん坊"
なのでしょう。


ちなみにシリーズ三作目は『町長選挙』なのですが、
未だ未入手です。。。残念。

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タグ:小説 感想
posted by 鉄蔵 at 01:59 | Comment(0) | TrackBack(1) | 本(小説)

2008年05月15日

誰か(宮部 みゆき)

誰か (文春文庫 み 17-6)
誰か (文春文庫 み 17-6)宮部 みゆき

おすすめ平均
stars平凡な日常の幸せを噛み締めたい時に
stars日常にひそむ毒
stars地味な感じがするが、それはそれで面白い
stars秘密を厳守する男
stars盛り上がりに欠ける

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【本】
 誰か

【作家】 ※●は代表作
 宮部みゆき火車

【ストーリー】
 平凡なサラリーマンが追うささやかな事件。しかし日常性の中でこそ、物語はどこまでも深まっていく。これぞ宮部みゆきの真骨頂。今多コンツェルン広報室の杉村三郎は、事故死した同社の運転手・梶田信夫の娘たちの相談を受ける。亡き父について本を書きたいという彼女らの思いにほだされ、一見普通な梶田の人生をたどり始めた三郎の前に、意外な情景が広がり始める――。稀代のストーリーテラーが丁寧に紡ぎだした、心揺るがすミステリー。

【感想】
ある会社の社長のお抱え運転手が自転車ではねられ、運悪く死亡。
その自転車に乗っていた犯人(?)が逃亡した為、
遺族は犯人探しを始めます。しかし、素人にはなかなか上手くいきません。
そんな折、社長の娘婿に
 「犯人探しに協力してやってくれないか?」
と直々に依頼が来ます。
そんな経緯で、普通のサラリーマン(但し、逆玉成功者)が、
交通事故遺族による犯人探しを協力する事に、といったストーリーです。

この物語の最大のテーマは
「人は己の過ちを隠す事で、幸せに慣れるのか?」
です。

何かミスを犯したときに怒られないため、
それを隠そうとするのは人間の本能なのでしょう。
(うちの子供達も、まず何かしでかしたら隠そうとします。。。)

運転手を死なせた犯人もその本能に従い逃げました。
そんな彼は一体どんな心境なのでしょう?
捕まっていない現状に幸せを感じているのでしょうか?
毎日犯人が自分だとバレないか怯えているのでしょうか?

その答えは意外なところにありました。
亡くなった社長のお抱え運転手も、娘にも言えない程の
とても大きな秘密を抱えて生きてきたのです。
その結果、彼の家族はとても悲しい結果を迎えるのです。

「過去の過ちを隠そうとする人間は、
 自分の周囲まで含めて決して幸せになれない」


これが本書のストーリーの最大のポイントです。

例え人を殺しても、のほほんと生きていける
生まれながらの悪人もいるんだと思います。

でも、普通の感覚を持った人間なら、
大きな過ちを隠しながら、幸せには暮らせないんでしょうね。

この小説を読むんだ結果、当たり前の事ですが、
 「人間、正直が一番だな」
という結論に至りました。

この本は、そんな教訓めいた一冊でした。

宮部みゆき作品を一度でも読んだ事があるなら、是非クリック!映画ブログランキング
タグ:小説 感想
posted by 鉄蔵 at 00:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説)

2008年05月01日

直木賞受賞作&窪塚主演で映画化もされた『GO(金城一紀)』

GO
GO金城 一紀

おすすめ平均
stars再読した。あいかわらず、疾走感がある。
stars変わりなきお話
starsサラっと読めます
starsスピード
stars「自然」に線を引くこと

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【本】
 GO

【作家】 ※●は代表作
 金城一紀(SP)

【ストーリー】
 広い世界を見るんだ―。僕は"在日朝鮮人"から"在日韓国人"に国籍を変え、民族学校ではなく都内の男子高に入学した。小さな円から脱け出て、『広い世界』へと飛び込む選択をしたのだ。でも、それはなかなか厳しい選択でもあったのだが。ある日、友人の誕生パーティーで一人の女の子と出会った。彼女はとても可愛かった―。感動の青春恋愛小説、待望の新装完全版登場!第123回直木賞受賞作。

【感想】
直木賞というとなんだかすごい作品な気がするが、
そもそもこの賞とは一体何なのだろう?

ということで"直木賞"をウィキペディアで調べてみると、
「直木三十五賞(なおきさんじゅうごしょう)は、
 大衆文学の新人に与えられる文学賞。通称は直木賞。」
と書いてある。

知らなかった・・・。
新人賞なんだ、直木賞って。

ちなみに“芥川賞”は純文学の新人に与えられる文学賞とのことで、
どちらも小説世界の新人賞だそう。

なんでこんな事を書いたかというと、今回読んだ金城一紀の
 『GO
が、123回直木賞受賞作だから。

■■■GoodPoint■■■
生い立ちという、本人の努力ではどうしようもない問題を抱え、
悩み・葛藤し・怒り・涙する在日韓国人の青年。
そんな主人公の心の中を、本当に生き生きと描いていた。

抗うわけではないが、流されるわけでもない。
いざという時の為に力を身につけるが、
同時に自分のルーツを学び、知識という力も身につける。
そんなバランス感覚に長けた主人公がとてもカッコいい。

■■■BadPoint■■■
『在日韓国人』
自分の人生にはこれまで関わる事が無かった問題だ。
だから、何が正しくて、何が間違っているのかが分からない。
だから、自分の身近な話のはずなのに、どこか対岸の火事だ。

この本が悪いわけでないが、
どうしてもこの小説をリアルに感じることが出来なかった。

■■■評価■■■
青春小説として抜群の出来だ。
なぜならば主人公の彼が圧倒的にカッコいいから。
 心が強く、ケンカも強い。
 友情に熱く、勉強熱心だったりもする。

おまけに彼の父親も母親も友達もみんなカッコいい。

でもこの小説はそれだけでは終わらない。
そんな彼らのストーリーを読むうちに、日本人が抱える
 "差別意識"
について考えさせてくれる。

 何が"強い"ということなのか?
 何が"正しい"ということなのか?

そんなことを考えさせてくれた一冊だ。

そういえば映画化もされたよね、この本。映画ブログランキング

GO
GO窪塚洋介 柴咲コウ 大竹しのぶ

東映 2002-07-21
売り上げランキング : 7922

おすすめ平均 star
starクボヅカというキャラクター
star広い世界を見るのだ
star足が速くなきゃ逃げ切れねぇ

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タグ:感想 小説
posted by 鉄蔵 at 22:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説)

2008年04月25日

イン・ザ・プール(奥田 英朗)

イン・ザ・プール (文春文庫)
イン・ザ・プール (文春文庫)奥田 英朗

おすすめ平均
stars空中ブランコからすぐ読んでみた
stars現実にこんな医者がいたらどうなるんでしょうね・・・(笑)
stars型破りだけれど本質を突いている
stars予断(よだん)大敵!
stars息抜きに

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【本】
 イン・ザ・プール

【作家】 ※●は代表作
 奥田英朗(空中ブランコ)

【ストーリー】
 「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。

【感想】
レディ・ジョーカー」を読了する迄の一ヵ月半の間に
買いためた本の中で、次に読む本として手が伸びたのが
イン・ザ・プール

何が気になるって、この本の続編であり、直木賞受賞作である
空中ブランコ
の舞台版の広告が最近目に付いて仕方なかったから。

だって、通勤に使っているメトロの車両内だけでなく、
わが町和光市の駅前の掲示板にまでポスターが張ってある始末!

ということで、ポスターに写る宮迫&サトエリの
妙な組み合わせに惹かれるように、小説版の前作にあたる
この本に手が伸びた。

呼んでみた感想だが、いやぁオモシロイ!
人間の心が
 如何にもろくて
 如何に複雑で
 如何に繊細で
 如何に面白いか
を堪能させてくれた一冊だ。

心の病というと、ちょっとデリケートな問題で
ついつい深刻に捕らえてしまいがち。
でも本書を読むと、大したきっかけも無く
誰でもその境界線を簡単に超えてしまう可能性があるのだ
ということに気付かせてくれる。

本作の主人公は精神科医の伊良部。
常に患者に対して気軽に接し、決して深刻な態度など見せない。
真剣なのか、ふざけているのかが分からない態度だが、
常に「いらっしゃーい」の掛け声で患者を迎え、
彼らの話に耳を傾けてくれる。

ちょっとおかしな精神科医を前にして
「こいつはヤブ医者なのか?」
と疑いつつも、患者達は毎日彼の元へと足を運ぶ。
それは、伊良部が常に自分を迎え入れてくれ、
そして自分の話を聞いてくれるから。

そうなのだ。
誰しもが、自分を受け入れて欲しいしと思っているし、
話を聞いて欲しいと感じている。
こんな単純だけども贅沢な欲求を満たしてくれる
存在が身近にいればきっと心が病む事なんてないのだ。

毎日仕事をするしかやることがなく、友達も少ない。
そんな私は、家族がいてくれるお陰で、
何とか境界線を越えずにふんばっている。

仕事の愚痴を文句ひとつ言わずに聞いてくれる妻や、
玄関のドアを開けると全速力で駆け寄ってきて
 ”お帰りー!”
と私を迎えてくれる子供達に
ほんとうに感謝の気持ちをこめて、
 アリガトウ
と言いたい。
そんな気分にさせられた一冊だ。

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タグ:小説 感想
posted by 鉄蔵 at 02:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説)

2008年04月24日

レディ・ジョーカー(高村薫)

レディ・ジョーカー〈上〉
レディ・ジョーカー〈上〉高村 薫

おすすめ平均
stars高村薫の「歯応え」真骨頂
stars絶対的剛速球
starsミステリーと言うよりは、やっぱり社会派小説
starsこれぞ「社会派」
stars緻密な細部リアリズムのお手本

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レディ・ジョーカー〈下〉
レディ・ジョーカー〈下〉高村 薫

おすすめ平均
stars傑作ゆえの、最悪の読後感
stars組織の中で生きる人間がどうなるか?
stars高村薫の素晴らしさ
starsLJ原作本が読み難いという映画鑑賞者の為に
stars登場人物がみんな魅力的です

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【本】
 レディ・ジョーカー

【作家】 ※●は代表作
 高村薫(マークスの山)

【ストーリー】
 ビール製造会社で労働組合運動に関わった兄の死をきっかけとして、一人の薬局店主が営利誘拐を計画し、元自衛官のトラック運転手、現役警察官、旋盤工、在日朝鮮人の信用金庫職員と共に実行。さらに、営利誘拐事件の被害者となったビール会社の利益供与事件も絡み、複雑なストーリー構成になっている。

【感想】
昨日の記事で書きましたが、一ヵ月半も掛けて
 『レディ・ジョーカー
を読み終えました。
 
上下2巻で、1ページが2段構成。
単純に言えば普通の4冊分程度に相当する分量の本作。
普通に考えれば相当に読み応えがある一冊のはずですよね。

あれ・・・?

なんでなんでしょう。
読み終えた満足感や感慨が一切起こってこないんです。
というよりも「やっと終わった」という開放感で一杯なんです。

どうも私には、このぶ厚い本は
 ”修行” や ”拷問
といった類に分類されてしまったようなのです。

企業を恐喝する犯罪グループの面々。
恐喝される企業の経営者たち。
犯人を追う警察。
事件を報道する新聞社の記者たち。
ある事件に絡む多くの人物の背景や行動・心情を丹念に描き、
事件の裏に潜む人の業といったものまでも描き出そうとします。

「事件が起こった、それでどうなった」といった単純な表現ではなく、
事件がなぜ起こったのかという過去の背景をまず丁寧に描き、
その事件に巻き込まれていく人々の心境の変化を次に描き、
最後に心の変化の積み重ねが導く事件の結末を描きます。

この登場人物への徹底した掘り下げ方は、
本書が最も評価される点なのでしょう。

・・・。
でも、私にはちょっと丁寧過ぎました。
面倒くさくなってくるんですよ、ここまで書かれると。
ページ数ばかり稼がないで、もっと端的に書いてくれ!
というのが正直な感想です。

ラストも結局すっきりしない終わり方ですし、
正直私としては
貴重な時間を返してくれ!
と別冊宝島へ訴えたいところですが。。。
実際に読まれた多くの皆さんはどんな感想をお持ちなのでしょうか?

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タグ:感想 小説
posted by 鉄蔵 at 00:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説)

2008年03月12日

死神の精度(伊坂幸太郎)

死神の精度 (文春文庫 (い70-1))
死神の精度 (文春文庫 (い70-1))伊坂 幸太郎

おすすめ平均
stars短編集のふりをした長編小説
stars凄い!!
stars主人公はクールな死神
stars祝・映画化 死神が主人公の短編集
starsおもしろい

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【本】
 死神の精度

【作家】 ※●は代表作
 伊坂幸太郎アヒルと鴨のコインロッカー

【ストーリー】
 CDショップに入りびたり、苗字が町や市の名前であり、受け答えが微妙にずれていて、素手で他人に触ろうとしない―そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。

【感想】
うちの奥さんは金城武が好きだ。
その彼の最新主演作が『Sweet Rain 死神の精度』という映画なのは
(多分)テレビコマーシャルで知っていた。

ちょっと前に大学時代の友人が出張先である上海から
一時帰国したので、久しぶりに飲んだ。
待ち合わせまで時間が空いたので、渋谷をぶらついている時
本屋でたまたまこの本を見つけ、始めて知った。
あ〜!金城武が主演する映画の原作は伊坂幸太郎の作品なんだ!
と。
そんな驚きもあって、中古本意外を滅多に買わない私が
迷うことなくピカピカの新刊で買った一冊だ。

主人公は死神。
ターゲットとなる人間を7日間観察し、死んでも良い存在かを判断する。
(死神用語では死んでも良い=可、良くない=見送りらしい。)

死神というと忌み嫌われる存在だが、名前には”神”がつく。
生命の誕生をつかさどるのが普通の神で、
生命の終わり、つまり死をつかさどるのが死神。
生と死は必ずセットの表裏一体であり、
神と死神もまたセットということなのかもしれない。

そんな死神が生死を判断すべく出会った幾人かの人々とのエピソードが
それぞれ短編として本作では語られている。

 彼らは死に値すべき人間なのか?
 逆に言えば、まだ死ぬべきでない存在なのか?

これほど重要なテーマを、意外な程淡々と処理していく死神の姿に
人の生死の意味や重さを考えさせられる一冊。

読み終わって、
映画版『死神の精度』では金城武が
 どんなクールな死神を演じているか?

に、とても興味が湧いてきた。

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posted by 鉄蔵 at 01:32 | Comment(0) | TrackBack(2) | 本(小説)

2008年03月05日

我らが隣人の犯罪(宮部みゆき)

我らが隣人の犯罪 (文春文庫)
我らが隣人の犯罪 (文春文庫)宮部 みゆき

おすすめ平均
stars「新装版」、「児童向」もあります
starsさわやか〜黒くない
starsほのぼのとしたミステリ
starsのちの作品の原点ともいえる短編集
stars出発点という印象

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【本】
 我らが隣人の犯罪 (文春文庫)

【作家】 ※●は代表作
 宮部みゆきパーフェクト・ブルー

【ストーリー】
 僕は三田村誠。中学一年。父と母そして妹の智子の四人家族だ。僕たちは念願のタウンハウスに引越したのだが、隣家の女性が室内で飼っているスピッツ・ミリーの鳴き声に終日悩まされることになった。僕と智子は、家によく遊びに来る毅彦おじさんと組み、ミリーを”誘拐”したのだが・・・・・。表題作以下五篇収録。

【感想】
最近読んだ短編集は、収められた話同士で繋がりがある
そんなスタイルが多かった。
 「村上龍映画小説集」や「チルドレン」とか。

だから、今回の「我らが隣人の犯罪 (文春文庫)」にちょっと違和感を覚えた。
これは完全に独立した5つの話からなる短編集だから。。。

慣れってほんとに怖い。
ちょっと前は”短編なのに連作になってる!”と驚いていたのに、
そんな作品を数冊読んだだけで、それが主流かのように思ってしまう。
(こんなときに自分の流されやすさ・主体性の無さをシミジミ感じる)

宮部みゆきの印象は
 「長編は上手いが、短編はイマイチ
過去の記事を読み返してみると、
人質カノン」を読んだ時に植え付けられたイメージらしい。

で、今回読んだ「我らが隣人の犯罪 (文春文庫)」はどうかというと、
それぞれの作品が及第点レベルには達していたと思う。
特別驚くべき仕掛けも無いが、退屈する事も無くさらっと読めた。
分かりやすい誉め言葉は
 「通勤途中に読むには最適な一冊!
乗り継ぎでぶつ切りになっても、違和感なく読みつづけられる
そんな感じのかる〜い作品。

そんな5編の中イチバンは?と言えば「サボテンの花」。
これは小学校の教頭とあるクラスの生徒達を題材にした作品。

サスペンスと言えば誰かが死ぬのが当たり前だけど、
決してそんな殺伐とした話だけがサスペンスではない、
ということを教えてくれる。
「心温まる子供と大人の心の通い合い」
でも、書き方次第では立派なサスペンスに様変わりする

ということを勉強させてもらった。

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posted by 鉄蔵 at 01:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説)
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